写真・図版人工知能「ディープラーニング」が認識した猫の画像と、実験をしたアンドリュー・ング・スタンフォード大准教授=米カリフォルニア州マウンテンビュー

 コンピューターが自ら考える人工知能(AI)を巡り、いま世界的な頭脳争奪戦が繰り広げられている。

 人工知能のなかで、特に奪い合いになっているのは「ディープラーニング(DL)」と呼ばれるプログラムの専門家たちだ。

 人間は、目に飛び込んできた情報の中から色を感じ、色の点がつながった線を見分け、さらに線に囲まれた形を読み取る。そして、形の中から人間の顔 などの図形を認識し、男女などの微妙な差も識別する。「人間の顔」とわかれば、それを「夫の顔」などと判断する。DLは同様に、段階を追って認識してい く。

 DLの専門家は「世界でもわずか50人程度」といわれる。その囲い込みに、世界中のIT大手企業がいま、血眼になっている。

 先手を打ったのは米グーグル。2013年3月、DLの先駆者であるカナダトロント大教授のジェフリー・ヒントンのベンチャー企業を買収した。対抗するかのように、フェイスブックは同年12月、人工知能研究所をつくり、ヒントンの弟子の研究者を責任者に招いた。すると今年1月、グーグルは英ベンチャーを買収し、10人ほどの優秀な研究者を獲得した。買収額は400億円と報じられた。

 囲い込みのきっかけは12年におこった人工知能での、ある技術革新だった。

 米スタンフォード大で3日間動き続けたコンピューターが12年、画面に合成画像を映し出した。猫の顔だった。コンピューターが初めて、データの中から物を認識し、自ら画像を作り上げた瞬間だった。

 DLは、与えられた情報のなかから「最も特徴的なものを選べ」とプログラムされている。ユーチューブ上の1千万の画像を与えられたDLは、点(ドット)がつながった線をみつけ、形状を見分ける、といった段階的な思考を重ねた。DLが特徴的だと認識したのは「猫」だった。まるで赤ちゃんが初めて母親を認識するかのように。 研究チームを率いる准教授のアンドリュー・ングは「実験の成功はうれしかった。でも、なぜ猫なのか。ジョークかと思った。ユーチューブにはたくさんのネコ動画がアップされているのは知っていたが」。

 機械が猫を見分けたニュースは世界を駆け巡った。ネットに積み上がる文字情報や画像、音声データをDLが自ら認識できるようになれば、ビッグデータ分析などでビジネスへの応用が一気に進むという期待感が広がった。

 DLの専門家を巡る世界の争奪戦に、日本企業が参加している様子はない。しかしいま、米大手の影をひたひたと追う勢力がいる。 中国のグーグルといわれるネット大手の百度バイドゥ)だ。昨年、シリコンバレーにひっそりと人工知能研究所を設立。そして今年5月、DL研究の第一人者を所長に迎えた、と発表した。「猫」論文で知られるングその人だった。

敬称略(嘉幡久敬)

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 以上引用終わり。DLである。人工知能が人間を超える時代の到来か?

 なぜ猫なのかよくわからないけど・・。笑。