運転を止めている全国の原子力発電所が2015年に再稼働し、稼働40年で廃炉にする場合、原発の発電コストは11・4円(1キロワット時あたり)となり、10円台の火力発電より割高となることが、専門家の分析でわかった。東京電力福島第一原発の事故対策費が膨らんでいるためだ。政府は原発を再稼働する方針だが、「コストが安い」という理屈は崩れつつある。

 電力会社の経営分析で著名な立命館大学の大島堅一教授と、賠償や除染の調査で知られる大阪市立大学の除本理史(よけもとまさふみ)教授が分析した。近く専門誌に発表する。

 両教授が、政府や東電などの最新資料を分析したところ、福島第一原発の事故対策費は約11兆1千億円に達した。政府が昨年12月に示した「11兆円超」という見積もりを裏付けた。

 発電コストは、発電所の建設費や燃料などの総額を総発電量で割って計算する。民主党政権がつくったコスト等検証委員会は11年12月、原発の発電コストを実態に近づけるため、実際にかかる事故対策費や政策経費も総額に加えることを決め、試算した。

 このときの事故対策費は約5兆8千億円とされ、原発の発電コストは8・9円と試算された。04年の経済産業省の試算は5・9円だった。大島教授が今回、この計算式に約11兆1千億円の対策費を当てはめたところ、9・4円になった。

 原発の再稼働手続きが進む実際の状況に近づけようと、停止中の原発のうち40年の「寿命」を迎える5基を除く43基が15年に再稼働し、40年で廃炉になる条件を加えたところ、11・4円になった。これだと、同委員会が出した石炭火力の10・3円、LNG(液化天然ガス)火力の10・9円と比べて、原発は割高となる。

 政府は4月に決めたエネルギー基本計画原発を「重要なベースロード電源」として、再稼働の方針を明記。昼夜を問わず発電が安定していることや、コストが安いことなどを理由に挙げていた。

 事故対策費の一部は、電力各社が電気料金の値上げ時に料金の原価に加えており、電気利用者の負担増につながっている。(編集委員・小森敦司)

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 以上朝日新聞デジタルからの引用終わり。

 福島だけじゃない。核のゴミを処理するのにも莫大な費用がかかる上「全ては金目」で解決したくても、どこも引き受けてくれないのが現状だ。9電力会社の株主たちは異口同音に「原発継続が政府の方針だ」と言って見直し案を全て否決してしまった。政府と株主たちがこの国を滅ぼそうとしているのである。将来、奴らは全員再稼動した原発の周囲に強制移住させなければならない。安全だと言うのだからそれくらいはして当然だ。