英記者による日本の敗因。
英国人記者が見た日本代表。弱いメンタル、脆すぎる自信、間違えた戦術、JFAからの無理難題
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軽率だった今野。優勢な試合で先制点を与える
日本はテクニカルな選手を輩出することに関して世界でもベストな国の一つとして高い評価を得てきた。そして、そのいくつかは練習で学習できないものだ。
サムライブルーは、現在5大会連続でW杯に出場しており、間違いなくいくつかの分野で進歩しているが、大舞台への認識の甘さがまだ残っているように感じる。日本人選手の大きな課題は、メンタルの強さと継続して自信を持つ心だ。
アルベルト・ザッケローニは、グループリーグでの悲惨な敗戦によって多くの批判を集めているが、このイタリア人に全ての責任を負わせることは単純すぎる。
彼は選手を選び戦術を決めてきたが、選手個々のミスは予測できないもので、ブラジルではこれがあまりに多かった。(特に重要な最終戦で)
最初の15分間、日本は積極的かつ情熱的な姿勢で、既にベスト16進出を決めていたコロンビアを相手に優勢に試合を進めていた。
しかしその後、今野泰幸はエイドリアン・ラモスに対してペナルティエリア内でタイミングの悪いファールを犯し、ホセ・ペケルマンのチームにリードするチャンスを与えてしまった。(才能あふれるフアン・クアドラードがこのPKを決めた)
なぜ今野がそのような選択をしたかは、彼のみが知っていることだ。しかし、そのような状況に陥ったことで彼は集中力と自信の欠如を露呈した。
当然、監督は誰をマークすべきか、いつマークを外すべきか、そしていつ挑戦するべきかを何度も選手に話しているはずだ。しかし、彼らが感情を抑えることが出来なければ、それが違いとなってしまう。
ザックの戦術に誤り。1点を奪えば良い後半、捨て身の攻撃を指示
同様に、前半の最後に岡崎慎司のヘディングによって試合を振り出しに戻したことで、日本の守備陣は冷静な頭脳を取り戻せるはずだったにも関わらず、後半に入ると一層パニックに陥ってしまった。
日本の守備陣は、後半開始から投入されたハメス・ロドリゲスに翻弄された。そして10分後、彼に引きつけられる形でジャクソン・マルティネスをフリーにして再びリードを許したのだ。(内田篤人は誰をマークすべきだったのだろうか)
これは、日本が試合の状況に適応できないことを示すものだ(日本サッカーの一般的な問題といえる)。次のラウンドに進出するためには1ゴールを挙げれば良 いという状況で、捨て身の攻撃を繰り出す必要があったのだろうか? そして、彼らはコロンビアが張り巡らせた罠にあっさりとかかってしまった。
また、これに関してはザッケローニ監督の過失でもある。そもそも、ザックはこの試合だけではなく、この前の2試合でも戦術の選択を間違えた。
コートジボワール戦では、ダイナミックでポジティブなプレーを披露していた長谷部誠を前半のみで下げて、プレースピードが遅く、横パスばかりの遠藤保仁を投入。そして、後半の日本は信じられないほど守備力を脆くした。
第2戦ギリシャ戦では、守備を固めた10人の男たちを相手に突破することが可能な選手を投入せず、相手にも決勝トーナメントへの希望を与えてしまった。
それにも関わらず、日本は再びピッチ上での規律もフォームも失っただけでなく、ディフェンスの組織とリーダーシップをも失った。そして、DFラインと中盤の間に広大なスペースを残して闇雲に突っ込んでいくことでゴールを奪おうとした。
その様子は、どう見ても黄色いユニフォームの選手がゴールを挙げることを感じさせるものだった。
ワンパターンでは勝てない現在のサッカー界。それでもJFAは要求
もちろん、日本に可能性が無かったとは言わない。前半の段階では、いくつかの大きなチャンスは作れていた。
ただ、彼らはプレッシャーの下で落ち着いたプレーが出来ないことが多かった。ゴールを奪いたいならば、大久保嘉人、香川真司、柿谷曜一朗は自身のベストパフォーマンスを見せる必要がある。
コロンビアが3-1、4-1としていく姿と比べると、日本の選手たちは冷静さが不足していることが浮き彫りとなった。ハメス・ロドリゲスの美しいループシュートは、両チームの違いを特に感じさせるものだった。
コロンビアは、1998年以来となる決勝トーナメント進出を最大の目標と捉え、このグループに完璧に対応してきたように見えた。その一方で、相手のことが見えていなかった日本は、初戦で36歳のディディエ・ドログバが投入されただけで揺さぶられてしまった。
ワンパターンのチームを作ることは簡単だ。そして、この大会がフットボールの最高レベルであることを忘れてはいけない。イタリアと現王者スペインは、同様にグループリーグで敗退している。
しかし、JFAは日本がスペイン同様のプレーが出来ることを自称し、常に要求しているが、結果を残すことがどれほど難しいことかはすぐに分かるはずだ。(2006年と2014年の類似点は多くの媒体で伝えられている)
技術的な能力は現代のフットボールに不可欠だ。しかし、それはまた強い決意を持って裏付けられる必要がある。
ペケルマンのコロンビアは、簡単に日本を敗退させたことでそれを示した。そして、もう一人のアルゼンチン人監督であるディエゴ・シメオネは2013-14シーズンのアトレティコ・マドリーで繰り返し称賛された。
日本の監督が同じ事を行うことが出来るという時代は、まだまだ遠いようだ。
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- 以上『フットボール・チャンネル』の英国人記者からの引用終わり。
- 日本の新聞より遥かに正鵠を得ている。