女性の管理職を増やすため、数値目標を導入する企業が増えている。国際化に向けて多様な人材は不可欠で、安倍政権成長戦略に女性の活躍を掲げて後押しする。ただ、日本の取り組みは緒に就いたばかりで、先行する欧米諸国の背中はまだまだ遠い。

 

 日立製作所の桑原しん子さん(44)は昨春、課長級にあたる部長代理になった。仕事は、大学や省庁向けシステムの企画提案だ。

 午後5時半になると、2人の部下に「お先に」と声をかけ、長男(5)を保育園へ迎えに行く。夜は早く寝るかわりに、朝は午前5時に起きる。その日のうちにやるべき仕事を書き出し、自分あてにメールを送る。効率を上げる工夫だ。

 昇格前、「いつから残業できる」とたずねる上司に、「定時でも成果を出せます」ときっぱり答えた。はじめは人より早く帰るのが後ろめたかったが、今はちがう。「定時で働いて、しっかり成果を出す。男女ともにそんな管理職が増える時代になる」

 日立は昨春、2020年度までに8年かけて、国内を中心に女性管理職を2・5倍の1千人に増やす目標を発表した。中西宏明会長は「グローバル化を進めるには、文化習慣や国籍の壁を乗り越える必要があり、女性の登用はその第一歩」と話す。

 

 ■成長戦略が追い風に

 数値目標の導入は、女性の積極的な登用を社内に意識させるのが狙いだ。政府が成長戦略で20年までに3割に増やす目標を掲げたことも追い風となっている。

 三菱重工業は 7日、20年までに管理職に就く女性を今の3倍の約250人に増やす目標を発表した。海外の同業者では国籍や性別にとらわれない人材活用は当たり前。合弁 会社では出向者が女性の部下になるのも珍しくない。仕事を円滑に進めるには「性別にとらわれない人材の登用が欠かせないと考えた」(広報)。

 ソニーの女性管理職は現在約5%。昨年初めて20年までに15%に引き上げる目標を打ち出した。管理職を目指す女性を増やすため「リーダー塾」も結成した。

 先駆けて数値目標を導入した企業では、成果も出ている。「女子学生の人気企業」などの調査で常連の資生堂。目標を掲げた05年に11・7%だった比率は、13年度末には倍以上の26・8%まで上がった。日産自動車も04年に女性を生かす組織を立ち上げて以降、女性管理職の比率は約4倍になった。カルロス・ゴーン社 長は、女性管理職について「会社の競争力を高め、市場や顧客に対応するために必要だ」と語る。一方、あえて数値目標を設けない企業もある。鉄鋼大手JFE ホールディングスは「『逆差別』にならないか。女性が働きやすい職場をつくり、管理職も自然に増えるのが望ましい」(広報)と話す。

 

 ■比率1割、欧米に遅れ

 日本の女性管理職比率は、国際的にみて低い。欧米諸国は軒並み3割を超えているのに対し、日本は韓国と並んで、約1割にとどまる。

 安倍政権が「20年までに3割」の目標を打ち出したのは、少子高齢化で細る労働力を確保するためだ。国や自治体だけでなく、企業にも女性登用の「自主行動目標」をつくって開示することを義務づける新法の制定を目指している。

 ただ、法律をつくるだけでは限界があり、企業の取り組みが欠かせない。日本総合研究所の池本美香主任研究員は「やる気を高めたり、ワークライフバランスの実現を支援したりするなど総合的な体制づくりも重要」と指摘する。

 「女性の社会進出」の先進地である欧州は、企業の管理職にとどまらない。ノルウェーは企業に役員の4割を女性にすることを義務づけるクオータ(割り当て)制を導入済み。EU(欧州連合)は社外取締役へのクオータ制導入を話し合っている。

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 以上朝日新聞からの引用終わり。

 地上80億の人口のうち男と女はほぼ半々なのだから、どんな職場にも男女半々であっていいわけであるが、女性にはどうしても『妊娠・出産』というハンデが残るので、仮令近年旦那の側の『育児参加』が増大したとは言え、まだまだこのハンデは埋まってはいない。

 昔「戦後強くなったのは女性と靴下だ」という言葉があった程であるから、日本の女性の人権は欧米に比べたらまだ格段に低い。そこへ持って来て都議会や国会での政権党の「セクハラ野次」である。そのへんのおっさんが気まぐれで冗談を言ったわけではない。都議会・国会での会議中の野次なのである。それを他の議員らもゲハゲハ笑って聞いていたというのだから誠にお寒い国情である。

 まあ仮令少しずつでも女性に社会進出して貰わないことには何ともならない。